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高齢化とともに、がんによる死亡者数は増加を続け、日本では1981年に国民の死亡原因の第1位となった。がんは、日本など先進国だけでなく、開発途上 国でも急速に増加しており、米国がん学会によると、昨年には世界で約760万人が死亡し、1200万人以上が新たにがんと診断された。こうした中、がんの 解明や克服に進歩がないまま推移すれば、2050年には1750万人が死亡し、2700万人が罹患(りかん)すると予測されている。
ほとんどすべてのがんでは、遺伝子の設計図であるゲノムに異常(変異)が発生。その結果、正常な分子経路が破壊され、無秩序な細胞増殖を来すことが分 かっている。また、特定のがんや病態では、特徴的なゲノム変異が認められるため、それぞれのがんでゲノムの変異がどこでどのように起きているかを体系的に 示し、それらを「カタログ化」することができれば、がんの予防や診断、治療法に新たな手法をもたらす可能性があるとして、このプロジェクトが進められるこ とになった。
プロジェクトには、理研と国立がんセンターのほか、カナダや米国、インド、中国など10カ国の13機関が参加。事務局は、カナダのトロントにあるオンタリオがん研究所に設置された。
ICGCの意義について、理研の野依良治理事長は「がんは非常に複雑な病気なので、がんゲノム研究の国際協力が、がんへの理解を深め、患者により良い治 療法の提供をもたらす」と指摘。国立がんセンターの廣橋説雄総長も、「世界のがん研究者が協調して、がんゲノムの全容解明に向けた研究を推進し、その成果 をがんの予防や診断、治療に応用していくことは、がんの克服に向け大きな前進となるだろう」と話している。
がん治療では、一般に外科手術、放射線療法、化学療法が行われます。通常は、手術してダメ なら放射線、それでもダメなら抗がん剤という順番です。しかし、放射線や抗がん剤の効果がほとんどない疾患もあります。そこで第四の治療法として“がん免疫療法”が注目されております。
ヒトの免疫システムはがんを排除する能力を持っています。主に携わる細胞には2種類あります。ウイルス由来の抗原やがん細胞だけにある抗原を認識して、急速に増えつつウイルス感染細胞やがん細胞を殺す細胞傷害性Tリンパ球( CTL : Cyototoxic T lymphocytes ) と、どこかがおかしくなった異常な細胞をともかくも非特異的に殺してしまうナチュラルキラー細胞( Natural Killer cells ) とがあります。
両細胞とも自分自身のがん細胞を殺す能力があり、自分自身の正常細胞はまったく殺しません。抗がん剤とは比較にならないほど、がん細胞に対する選択的攻撃 作用が強い細胞です。本来、体内のこのような「細胞性免疫機構」が活性化されていれば、がんはできないはずですが、がん患者では活性化されていないので す。そこで、この免疫能力を強く活性化させてやることによりがん治療を行おうとしているのが、がん免疫療法です。
がん免疫細胞療法にはいくつかの方法があります。体外で患者自身の生きている免疫細胞を増やして体内に戻す自己活性化リンパ球療法などが行なわれております。当社の創業者らは、既に1995年には 、ヒト細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を大量に増やすことに成功、2001年にはヒトナチュラルキラー細胞(NK)を、50倍から400倍に増やすことに成功しております。しかし、生きている細胞を扱うため、操作がたいへん煩雑で高コストとなってしまう点が問題でした。
一方、生きている免疫細胞を扱わないで済むがん免疫療法が「がんワクチン療法」です。がん細胞に特有のがん抗原や、がん細胞そのものを(体外で殺しておいて)患者本人に接種し、がんに対する特異的な免疫反応を誘導する治療法です。
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